コピー7カ条

検索エンジンの技術は日々進化しており、キーワードをむやみに埋め込んだ詐欺的なページはランクが下がるようになりました。テキストの内容が正当に評価される時代です。コピーライティングがサイトの成功を左右するといっても、過言ではありません。
しかしコピーライター歴30年以上のエコトバですが、文章は本当に難しいものだと感じています。どうすれば、一定のクオリティを保てるか。読みやすく、印象に残る文章にできるのか。
エコトバは、スポーツ選手のルーティーンのようにコピーライティングもいくつかの決まった手順を踏むのが有効ではないかと考えています。
さっそくその手順をご紹介します。

1.情報収集

まずは、テーマに沿った情報をできるだけ集めます。オリエンとして与えられた情報だけでなく、関連情報は細かいことでもピックアップすることが大切。商品やサービスのスペックはもちろん、提供できる価値と現状のマーケットでの位置づけ、古今東西の類似の商品・サービスとの比較、進化の歴史、あるいは今後求められるであろう追加の商品・サービス、そして何かマイナス面はあるかどうかなど、オモテからだけでなくウラ側、時間軸など多方面で情報を集めて精査します。

2.差別化

情報を精査したうえで、何を差別化のポイントとして立てるかを考えます。いわゆるコンセプトメイク。ここがしっかりしていないと表現は迷走するのでとても大切な部分です。例えば家電製品などは、新機能・性能の部分をアピールしたいというオーダーが多いのですが、実はその結果もたらされる生活の変化、気持ちの変化にフォーカスをあてることが重要です。機能そのものではなく、約束される「価値」がポイント。ここが明快であればそのままフレーズにすることもあります。

3.人格設定

文章表現である以上、語る視点を統一することはとても重要です。企業からのメッセージの場合、法人というちょっとあいまいな主体になるため主語の意識が希薄になりますが、メッセージをどんな人格・視点で語っているかはとても大切。信頼感・安心感を感じる人格が基本になりますが、明るさ、楽しさなどを感じさせる若々しい人格、というのも魅力的ですね。ネットの場合、「少し若め」がなじみが良いような気がします。トーン&マナーといったりもします。

4.表現技法

ここでやっと文章について考え始めます。・断言する、・語順を変える、・数字を使う、・光景を描く、・語呂を整える、・オノマトペを使う、・カタカナ漢字ひらがなで言い換える、・実感体感を語る、・質問と答えのスタイルにする、・名言を参考にする、・紋切り型になっていないか注意する、・コンセプトやトーン&マナーにフィットしているか・・・・・・などなど、表現の技法はここには書ききれないのでまた別の機会に。とはいえ、ここに書いてある手順に従えば、細かい表現にこだわらなくても一定の水準はクリアできるはずです。

5.瑕疵検証

No.1表現や最上級表現の裏付けはあるか、根拠のない否定をしていないか、各種法律に反する約束をしていないかなどを基本に、その他ネガティブな反応についての検証が必要です。いわゆる「アラ探し」。ネット社会では反論が可視化されやすいため、ある物言いが第三者から見て違和感や反感を生じないかどうかの検証がさらに重要になりました。例えば、あるターゲット層にはメリットになっても、あるターゲットは不快に感じる場合がないかどうか、といった点です。

こちらも参考にしてください。株式会社エコトバ 炎上撲滅委員会

6.文章校正

アラ探しと近いですが、より単純なミスの洗い出しです。ネットのテキストは誤字脱字が多くなりがち。同音異義語の変換を行う日本語の特性上仕方がないのですが、文字の間違いを念入りに探す必要があります。モニター目視だけでなく、プリントアウトしての音読がオススメ。間違いだけでなく読みやすさのチェックにもなります(紙資源は余分に使うことになりますが・・・)。できれば第三者にチェックを受けるのがベスト。

7.試行錯誤

これは長期的な視点でのステップですが、アウトプットしてみて、それを広く見てもらう機会を増やすのが洗練された文章を生み出す王道。遠回りなようで、実は近道。文章のいい面・いまひとつな面はアウトプットして誰かに指摘されるまで気が付きにくいものです。そこからのフィードバックを増やす=経験値を増やすことが重要なのだと思います。時間をあけて何度も読み返す、という方法も有効です。

こちらも参考にしてください。株式会社エコトバ コトバのネタ帖(資料リンクのページ)

【おまけ:実際どうなの?】

上記はとても概念的な話をしたので、具体的にどうなの?ということを付記します。

例えば、洗濯機のキャッチコピーを書く、というお題があるとしましょう。

1.情報収集>>>全自動ドラム式洗濯機→ドラム式で気になる「音の問題」を改善。→静◯前なんていうネーミングの商品もあったし、洗濯機は昔からうるささとの戦いだったのだなあ。洗濯板、二槽式、全自動、乾燥機付きの変遷など

2.差別化>>>「愛情サイレント」→赤ちゃんがいたり、仕事で夜しか洗濯する時間がなくて困っていた人には朗報だなあ。静かに使えるシチュエーションをアピール。静かさは家族への愛情、という定義。

3.人格設定>>>もちろんママ視点の語り口がいいなあ。家事労働の役割の固定化イメージ、という問題はありつつも。

4.表現技法>>>洗濯は日常のひとコマ、日常を感じる表現がいい。おはよう・おやすみなどの挨拶と洗濯を絡められないだろうか。

5.瑕疵検証>>>家事と主婦、みたいな役割の固定化はさっき考えたが、愛情のイメージを優先しよう。24時間洗濯できます、みたいな表現ではオーバーワークな感じがする。もっと家事負担が減るようなイメージに持っていきたい。

6.文章校正>>>省略

7.試行錯誤>>>省略

結果:::「洗濯は、おやすみのあとで。」

(赤ちゃんのビジュアルで)

と、こんな感じです。実際の仕事はもっと条件がいろいろ複雑に絡み合っていて一筋縄では行きませんが、プロセスをシンプルにまとめるとこうなります。いいコピーかどうかは別として、いかがですか?

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